13. マイアミからカイカンヘ

12. 医療飛行機
14. 実業学校

コラム 「ミッションパイロット」  デイビッド・ゲイツ氏の証より

家族、隣人、そして友人たちが、ゲイツ家のイリノイ農場の草地の滑走路に置かれた飛行機の周りに集まりました。いつもは力強いデイビッドの父親の声が、祈ったときに震えていました。「神様、この伝道飛行機を与えてくださって感謝します。天使を遣わして、南アメリカへ向けて飛ぶ何時間もの間、デイビッドとレイフをお守りください。私たちは、彼らとこの飛行機とをガイアナにおける神様のみわざのためにおささげします」

草地の滑走路を端まで地上移動し、デイビッドとレイフは午後6時ごろに離陸しました。午後10時半に最初の燃料補給のためにチャタヌーガに立ち寄り、彼らは主翼タンクだけでなく、15ガロンの輸送用タンクを満タンにしました。美しい天候はフロリダに向かう夜を徹しての長い飛行を楽しませてくれました。彼らは午前5時に着陸し、暗くしたパイロット休憩室で5時間の睡眠をとり、それからマイアミのオパロッカ国際空港を目指しました。マイアミでの所用に月曜日の午後いっぱいかかりました。

火曜日の早朝、飛行機の燃料を満タンにしました。停電のせいで、オフィスが暗かったので、デイビッドは薄暗がりの中で飛行計画を提出し、燃料代を支払いました。午前7時には、彼らはバハマ諸島の小さな島ステラマリスへと舞い上がりました。
彼らがナッソー上空を飛んでいると、航空管制塔からの声が無線から聞こえました。「あなたはパスポートをマイアミに忘れました」。すぐにデイビッドは自分のウエストポーチがあるか調べて、見つけました。彼はそのメッセージに困惑しました。何を失くしたというのだろうか?

ステラマリスで再び燃料補給をしたとき、レイフがデイビッドに支払いのお金を貸してくれたので、彼は自分の書類かばんを取るために荷物を探らずにすみました。その夜遅く、グランドタークの島に着陸した後、デイビッドはお金の入っている書類かばんを探そうとして荷物を引っ張り出しました。パニックに襲われて、彼は声を上げました。「レイフ、僕は現金を入れた袋をあの暗いオフィスに置いてきてしまった!2000ドル入っている!僕らが燃料補給するほとんどの場所はクレジットカードを受け付けないんだ」

プエルトリコに向かって離陸したとき、デイビッドは胃の具合がおかしくなりました。彼は孤独な5時間の夜間飛行の間、神様にたくさん話しかけました。「天のお父様、あなたは、私の人間的不手際や欠陥にも関わらず、このプロジェクト全体を支配しておられます。もし私が現金をマイアミに忘れたなら、あなたはこの問題から私たちを救ってくださることでしょう。あなたはそれが見つかり、現金がまだあるかどうかご存知です。私はあなたのみ手の中に安んじております」

神様のみ言葉を通して再び確信がやってきました。「彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから救い」(詩篇107:13)。

デイビッドはサンフアン国際空港で飛行機を降りるや否や、公衆電話に向かいました。彼はマイアミ航空会社が1日24時間営業していることを知っていました。彼の問い合わせに対し、勤務に当たっていた人が答えました。「はい、マネージャーがメモを残してあります。こう書いてあります。『燃料の支払いをしたコンピューターの上にデイビッドのかばんを見つけた。開けると、現金が見えたので、すぐにそれを金庫の中にしまった。朝、ゲイツにそれを受け取る手配をするための電話をくれるように伝えてほしい』」

ご自分の不完全な子供たちの世話を続けておられる、天の父への感謝と賛美で満たされ、デイビッドはその夜ぐっすりと眠りました。

翌朝デイビッドは、マイアミのマネージャーに電話をかけました。彼女はそのお金を郵便為替に変えましょうか、と言いました。彼女は、「すぐにプエルトリコにかばんをお送りしましょう」と言い、「この処理をあなたには一切請求無しでいたします。私どもの顧客の方々には同じようにさせていただいています」とつけ加えました。

その小包が着くのを待って旅程日数を1日無駄にしましたが、デイビッドは神様の祝福を喜び、その時間を生かして必需品を探し求め、旅行のための食糧を買いだめしました。金曜日までにガイアナに着くための長距離飛行が待っていることを彼は知っていました。

小包郵便の飛行機は遅れ、木曜日の午前11時まで到着しなかったので、デイビッドとレイフがマルティニーク島に向かって離陸したのは午後12時30分でした。最近起こったモントセルラト島の噴火による火山灰から成る大きな雲が原因で、彼らはフォートデフランスでの美しい日没で終わるはずだった5時間の飛行プランを変更することになりました。ここでデイビッドはまた燃料補給をし、天気概況を聞き、スペイン語なまりのフランス語で話しながら、計器飛行の計画を提出しなければなりませんでした。

次の中継地であるセントルシア島には2つの高い火山がありました。その山頂上空3000フィート近くのところを飛行しているとき、緊張感が体中を走り抜けました。飛行機は火山からの乱気流が引き起こす風によって激しく上下に揺れました。彼は、「神様、私たちと一緒に飛んでいるあなたの力強い天使たちをありがとうございます」と感謝して祈りました。

その後、セントヴィンセント島の海岸沿いに点在する明かりが暗闇の中から現れ、ほっとしました。ついに、デイビッドは霧や低く広がる雲を通し、グレナダ島からの輝きを見ました。トリニダードの海岸線が水平線に見え始めると、彼の気持ちは高まってきました。

「僕はここで3年間暮らし、この空港で飛行を教えたんだ」とデイビッドはレイフに話しました。「下方はマラカス渓谷で、そこのカリビアンユニオンカレッジで僕は教えていた」。彼らは午後9時30分に着陸しました。税関と入国審査通過を待つ間、彼は昔の上司で友人でもある、教団会計をしているロナルド・トムソンに電話をかけました。彼はすぐに飛行機まで会いに来て、燃料補給を手伝ってくれました。そしてふたりのパイロットを、その夜の残りの数時間を彼の自宅で過ごすように招待してくれました。

彼らは午前6時30分に離陸し、3時間半後にはガイアナに着陸しました。ジョージタウンの下町にある小さな空港に着陸する直前、デイビッドはレイフに説明しました。「僕らがカイカンへの飛行許可を得るには神様の奇跡が必要だ。たいていこれには飛行機到着後何週間も、あるいは何ヶ月もかかる。僕は娘のカトリーナの8年生卒業式にどうしても出席したい。それに姪のクリステンも同じく卒業する。さあ、祈ろう」

ジョージタウンに着陸して地上移動するデイビッドを、飛行機整備工とパイロット数人がじっと見ていました。空港の管理者は、「あなたの飛行機をずっと後ろの隅に止めなさい。しばらくはその機を飛ばすことはないでしょう」と指示しました。
「そうかもしれませんが、私は本当にそうなるとは思いません」とデイビッドは彼に言いました。「私はすぐにその機を飛ばすことになるでしょう。民間航空の社長に話をする間、ここにとめていいですか?」
「なぜ?」
「私は今日奥地に飛びたいのです」。みんな笑いました。
「そんなことは聞いたことがない。われわれが飛行機を国に運び入れるときでさえ2、3ヶ月は待たなきゃならない。どこへだって、あなたが今日飛んで行けるはずがないね!」

民間航空のオフィスへ向かう途中、デイビッドは神様の約束を求めました。「われらは神様によって勇ましく働きます」(詩篇108:13)。オフィスの中で、彼は副社長に頼みました。
「ほんとうにあなたを飛ばせることはできません」とその副社長は答えました。「あなたにはもっと経験が必要です」
「私はジャングルで10年間飛行してきました」
「そうではありません。私が言っているのは、ガイアナでの経験がもっと必要だということです」
「私はすでにアイランダー機やセスナ206共に、少なくとも10回は、エアタクシー[不定期短距離用の小型旅客機]の副操縦士として、カイカンの村に着陸したことがあります。ルートにも小飛行場にもとても慣れています。なぜ10回以上も経験が必要なのでしょうか」
「慣れるまでに、少なくとも20回の経験が必要です」
「私が20回飛んだ後、今度は40回必要だと言うのではないでしょうか。どうか、社長ご本人と話をさせてくださいませんか?」
「よろしい、あなたは幸運だ。社長は今日いますが、彼もあなたを飛ばせはしないでしょうよ」
「それでも、どうか彼に会わせてくださいませんか?」

デイビッドは祈りながら、社長室へと歩いていきました。社長の第一声は同じでした。「いいえ、気の毒だが、私はあなたをそこへ飛行させるわけにはいきません。あなたにはもっと経験が必要です。その飛行は危険すぎるので、あなたの頼み断らなければなりません。あなたには少なくとも20回の経験が必要です」

少しがっかりしたデイビッドは、導きを求めてもう1回神様に祈りをぶつけてから、嘆願しました。「怒らないでください。けれどもぜひもう一度あなたと話し合わせてください。おわかりですか、私の家族はカイカンに住んでおり、私の娘と姪は月曜日に8年生を卒業します。私はしばらく合衆国に行っておりました。お願いです、私は家族にとても会いたいし、卒業式に参列したいのです」
「ということは、あなたの家族は、ここジョージタウンには住んでいないということですか?」
「ええ、私の家族はカイカンに住んでいます。そこが私たちの故郷の村です。家の近くに滑走路があります。私はそれをとてもよく知っています」
「ああ、それなら話は別です。私はあなたの家族がそこに住んでいるとは思いませんでした。あなたの確信は明白で、こちらをその気にさせますね。飛行許可を出します。どうか気をつけてください。ここで、その書類にサインしましょう。今日出発できます」。デイビッドは許可書類を手にし、心の中で賛美の祈りをしながら外に出ました。

デイビッドが、「私が飛行計画を提出している間に、この飛行機の燃料補給をしてください」と頼んだとき、空港管理者の開いた口はふさがりませんでした。彼は航空管制係官に、民間航空の社長サインのある許可書類を手渡しました。ガイアナ到着の当日に、奥地への飛行が許されるとはだれにも信じられませんでした。しかし、デイビッドは、神様だけは人の態度を変えることがおできになることを知っていました。飛行機が離陸すると、彼は天に向かって叫び声を上げました。「神様にとって不可能なことはひとつもない」

道沿いにある目印を確認しながら、デイビッドはジャングル上空を2時間飛行しました。カイカンへの降下を始めたとき、彼の目は涙でいっぱいになりました。地上移動に入ったとき、村人みんなが待っているのが見えました。シートベルトをはずして機外に出る前に、村の男がほとんど全員上って来て、みんなが一度に彼を抱きしめようとしました。村人たちは、これらのことをみな可能にしてくださった神様への特別の感謝の祈りをささげるために、円になってその飛行機を囲みました。

医療用の飛行機をついにカイカンの故郷に着陸させてくださった神様に、感謝と喜びを注ぎ出しているデイビッドの声は、何回か途切れました。これらのインディアンが仕えるすばらしい神様への賛美は、ジャングルに響き渡りました。ベッキーは、この尊い帰郷のときに、天使も歌っているのを聞く思いでした。安息日に入るちょうど20分前、彼らは飛行機をマンゴーの木の脇に押して行って固定しました。

12. 医療飛行機
14. 実業学校