12. 医療飛行機

11. 新しい運営
13. マイアミからカイカンヘ

コラム 「ミッションパイロット」  デイビッド・ゲイツ氏の証より

「ベッキー、解決はひとつだけ、飛行機だよ」と、パイロットである彼女の夫は確信を持って話しました。「だが今のところは、僕らにはかろうじて医薬品と食品を買えるお金があるだけだ」
ベッキーとデイビッドは神様の導きを求めて祈りました。信仰によって踏み出すべきでしょうか?
「神様は道を開かれる」とデイビッドは決断しました。「まずは、政府と連絡をとり、飛行機を使った伝道活動プログラムのための下準備をしよう」

初めから、役人たちは彼の頼みを退けました。しかし彼はノーという返事を無視して、「申請書はどれですか?」と尋ねました。
「この用紙だ」。そして彼らは1枚の用紙を手渡しました。彼は手早くそれに書き込みました。
「どんな試験を受けなければなりませんか?」彼はその試験を受けました。彼は彼らが要求することは何でもして、1年近くかかり、まただれも彼の免許取得を望んではいないようでしたが、ついにガイアナの営業用パイロット免許を取得しました。

彼は、「さあ、ベッキー、僕はやらねばならない準備をした。だが僕らにはガイアナで飛行機を使った伝道活動プログラムを始めるお金はない。『あなたがたを召されたかたは真実であられるから、このことをして下さるであろう』(第1テサロニケ5:24)という約束が、僕の耳の中でまだ鳴っている」と伝えました。
「私たちは以前に何度もその約束に頼ったわ。その約束を使い過ぎてすり減らすことはあり得ないことよ」とベッキーはデイビッドにほほ笑みかけながら言いました。「私たちがガイアナに落ち着く前に、あなたは合衆国に飛行機を買うために行かなければならないという気がするの。合衆国に5000ドルの貯金があるわ。知ってるでしょうけど、世界総会がトリニダード・トバゴ共和国から合衆国に私たちの物を送り返すようにとくれたお金よ。もしもの時のためにそのお金を銀行に残しておくつもりだったけど、送るのは少しだけにして、残りは飛行機を購入するために使いましょうよ」
「その通りだね、君。病院へ連れて行く方法がないせいで死んでいく、そこの村々の多くの病人のことを聞き、僕はそれがもしもの時だと思うよ。5000ドルでは飛行機を買うにはとても足りないが、神様がそれを何倍にもしてくださることはわかっている。よし、そうしよう」
彼女は、彼をしっかりと抱きしめました。「あなたと神様はとてもすばらしい関係を持っているわね。神様はあなたの祈りに喜んで答えてくれるに違いないわ」

神様の約束に頼って前進し、デイビッドは合衆国に向かいました。両親の家に着き、デイビッドはトレード・ア・プレイン(注:飛行機取引という意味)という雑誌を1冊買いました。それには売りに出ている何千機もの飛行機が掲載されているのです。彼はそれを注意深く調べ、ジャングルを飛ぶのに理想的な、彼の夢にかなうものを求めて、ひとつひとつ見ていきました。
「デイビッド、何を見ているんだい?」と父親が尋ねました。
「飛行機を買おうと思って見ているのですよ」
「たった5000ドルでかい!それで飛行機は買えないことはわかっているだろう」
「それは僕の問題ではありませんよ、父さん。まず、僕は飛行機を見つけなきゃならないのです。そうすれば、神様が責任をもってお金をくださいます。ちょうど欲しかったものをたった今見つけたばかりで、今、持ち主に電話をするところです」

デイビッドは、その持ち主に彼の必要とその理由を説明しました。その人は答えて、「もしあなたがおいでになってご覧になり、その伝道奉仕のために役立つと思うなら、数千ドル値下げして、あなたに売りましょう」と言いました。
デイビッドは電話を切り、「僕はその飛行機を見に行って来ます」と宣言しました。
「それを買うお金がどこにあるのかね?」と父親がもう一度尋ねました。
「父さん、それは僕の問題じゃありません。僕の仕事は神様がお金を与えてくださる前に、まず望み通りの飛行機を見つけることです。僕がそれを必要とするなら、神様は、『わたしの神様は、ご自身の栄光の富の中から、あなたがたのいっさいの必要を、キリスト・イエスにあって満たして下さるであろう』(ピリピ4:19)との約束を守ってくださいますよ」

父親の顔は依然として疑わしそうでした。
「わかりました、父さん。説明しないといけないでしょう。僕には、これがビジネスをする普通のやり方ではないとわかっています。普通に受け入れられるやり方は、飛行機購入の前にお金を持っていることです。それにパイロットの主な仕事は操縦することで、他の責任を負ったりしません」
「それで、お前はどうするつもりだい?」と父親は不思議そうに聞きました。
「僕らは、神様が僕らの経済的必要の満たし方をご存知であると信頼し、まったく信仰によってのみ生きることを選びました。神様は僕らよりもずっとよく僕らの必要をご存知です。ビジネスを進めていく前に予算をきちんと立て、運転資金を用意してやっていく他の人たちに反対しているわけではありません。しかし、僕らはボランティアであることを選んだので、予算を立てるために月々もらえる給料はありません。僕らは、神様は僕らよりもずっとよく経済について知っておられるという結論を出したのですよ。神様はご自分の働きを進めることがおできになります。神様はご自分の子らを喜んで世話してくださいます。すでに神様はすばらしいみわざをなさいました。僕らは神様が、ジョージ・ミューラー、ハドソン・テーラー、またその他の人々のために何をなさったか読んだことがあります。そして神様は同じことを僕らのためにもしてくださるという確信があります。ですから僕らは、神様の約束に土台を置いて決めるのです。僕らは、神様が新分野を開拓されるのを見るために、信仰によって前進するつもりです」
「わかった。母さんも私も信仰をもって神様にまったくお任せすることや、リスクも神様にお任せすべきだということに賛成だ」

デイビッドの義理の兄弟であるビル・ノートンは、近くに座ってその会話を聞いていました。デイビッドは彼に、「僕と一緒に、その飛行機を見に行かないかい?カリフォルニアからノースカロライナまでは長い距離だ。君に一緒に行って欲しいな」と言いました。
「いいとも、喜んで行くよ」と彼は返事をしました。
その日彼らはノースカロライナに向けて発ち、デイビッドの義理の兄弟の親テッドが、「私たちには銀行にいくらか貯金がある。その飛行機を買うために君にローンで貸そう、無利子でね。神様が君にお金を与えてくださったら返してくれればいいよ」と言いました。

そこでデイビッドは、ポケットにお金を入れて出かけました。彼はその飛行機を買いました。「この飛行機はたくさんの修理が必要だ」と彼は見てとりました。「ほとんど何もかも直す必要があるが、価格は正当だ。大きな可能性が見える。ケンタッキーに飛ばそう。そこでエンジンの修理をする必要があるだろう。後で全面的に整備して、ペンキを塗りなおし、板金作業をいくらかし、無線を組み込もう」。その飛行機がケンタッキーで修理されている間、デイビッドは家族とバーグドルフ夫妻を連れてカイカンの村に行き、それから合衆国に戻って飛行機整備を手伝いました。

しばらくしてから、修理したエンジンをデイビッドが飛行機に取り付けていたときのことです。その取り付け作業を仕上げようとして働いている間、冷たい12月の風が暖房のない格納庫を冷え冷えとさせました。家庭から何ヶ月も離れてひどく寂しく、また寒さでいらいらし、デイビッドは自分がひどく憂鬱になっているのを感じました。午後の間ずっと彼は苦労してケーブルを接続し、ナットを締め付けながら、その闇との戦いをしていました。
これは自分にとって正常ではないとデイビッドは思いました。胎児のように丸まって毛布の下に隠れたい気分だ。すばらしい隠れ家を思い出し、彼は自分の実状を愛する主イエスにもっていき、小声でうめきました。もしこの大きな闇が敵によって引き起こされたのであれば、どうか私から取り去ってください。60秒後に彼は口笛を吹き、いつもの熱心さに満ちている自分に気づきました。その憂鬱の闇を経験した後、デイビッドは、自分の楽天と喜びは主からの日ごとの賜物であることを認めたのでした。

翌朝、なおも喜びに沸き立っていたデイビッドに、突然ひとつの考えが浮かびました。自分の家族を驚かせて、カイカンで一緒にクリスマスを過ごせないだろうか?そうだ、いくらか経済的な犠牲を払うことになるかもしれないが、家族には絶対それだけの価値がある。すばやく電話を2、3かけ、手はずが整いました。彼はカイカンへ毎週飛ぶ便に予約をとりました。彼は自分の到着をだれにも話しませんでした。

ベッキーはその定期便に間に合うように滑走路を走って行き、デイビッドへの手紙を送ろうとしていました。彼らにとっては、別々にクリスマスを過ごすのは20年のうち2度目で、彼女は彼がいなくてとても寂しく思っていました。その飛行機が着陸し、滑走路を誘導されてやって来たとき、ひとりのアメリカ先住民の女性がベッキーに、「飛行機に乗っているのはゲイツ長老ではありません?」と尋ねました。心臓の鼓動が速くなりましたが、ベッキーはすぐに返事をしました。「あら、そんなことはありえないわ。彼は、今年はクリスマスに帰ってこないの。まだ合衆国にいて、飛行機の作業をしているわ」。その飛行機の方を期待してじっと眺めている彼女の頬に、涙がひと粒流れ落ちました。

彼女の「背高で、黒髪の、ハンサムさん」が降りてきました。彼女は彼に駆け寄り、彼の腕の中に身を投げました。子供たちとその驚きを分かち合うために、彼女は彼と手に手をとって家に歩いて行きました。

1ヶ月後、デイビッドはケンタッキーにある飛行機を取りに合衆国に戻り、それをミシガンのべーリンスプリングスにあるアンドリュース大学まで飛ばしました。そこでは、アンドリュース小飛行場の保守整備監督ブロックス・ペインが、その飛行機の離陸のための最終準備を完了するために、航空機保守整備の学生たちと働いていました。ブロックスは特にこの伝道の試みの一端を担うことにスリルを感じており、その仕事が最高の出来に仕上がるように何時間も超過して献身的に働いてきました。彼らが新しい室内装飾品、新しいブレーキ、新しい車輪、新しい計器パネル、新しいケーブルを取り付け、そして腐食部分の修理をしているとき、デイビッドの献身は、飛行機を使った伝道への希望を彼らに注ぎ込みました。彼らはまた高周波無線のことでも骨折って働きました。

デイビッドのプロジェクトのことを聞いたある人が、格納庫をふいに訪れました。「ずいぶんと改造をしたこの2座席のセスナ150は、ジャングルの滑走路を操縦するには理想的なのです」とデイビッドは彼に説明しました。その飛行機には短距離離着陸(STOL )装備と揚力を増す翼端変更装置がありました。大きくてやわらかなタイヤは様々な地形に着陸することができるでしょう。

「このプロジェクトをお手伝いしましょうか?」とその人は、小切手帳を引き出しながら尋ねました。資金が他の多くのところからやってくるようになりました。その飛行機購入後3ヶ月で、テッドファミリーへのローンはすっかり返済してしまいました。デイビッドは、「神様はまたやってくださった!僕らは信仰によって前進し、そして水は分かれた!」と叫びました。ガイアナのアドベンチスト医療飛行機サービスはまもなく現実となるのでした。

ついに整備と修理は完了しました。デイビッドは黄色と赤の縞、黒い登録番号、そして緑色(ガイアナの国旗の色)の文字の美しい飛行機を点検し、ほほ笑みました。彼は、「君らは立派な仕事をしてくれた」と学生たちに言いました。「新しい2馬力エンジンと高揚力の翼を持つこの飛行機は、医療搬送事業を始めるのには理想的だ」
「ガイアナの役人たちと全部手はずを整えたのかい?」とアンドリュースの仲間たちが尋ねました。

「いや。将来の進展は神様のみ手の中にある。ガイアナに飛行機プロジェクトを設立するにあたって、僕らは並々ならないことに直面するだろうね。世の政府は奥地に伝道飛行機が飛ぶことを好ましいとは思っていないようだ。彼らはまだ、ジャングルでの生活の質を向上させる手伝いをするのに、教会がいかに有用かわかっていない。今までのところ彼らの反応は『ノー、ノー、ノー』だ。僕は神様が大きなことをなさると信頼している」

「神様が問題を解決なさった後の運営計画を話してください」
学生たちは深い関心を示しました。
「僕らには3つの目的がある。まず、無料の医療搬送サービス。どんな医療上の緊急事態にも対応して、病人を一番近い病院に運ぶ。第2に、健康教育を提供する。健康的な生活についての基本的原則を知っている人はほとんどいない。第3に、成功の鍵になる要因はコミュニケーションだと信じる。滑走路のあるどの村にも無線があるので、患者はいつ僕らが到着するかわかる」
「着陸にはどんな滑走路を使うのですか?」
「長さは様々で、900フィートから1500フィートだ。すべてはベテランの辺境パイロットの着実な着地を要求する。ある所は濡れているときは危険だ。また他の所は風の状況が朝には安全だが、夕方は危険だ」
「へえ、あなたはたくさんのチャレンジに向き合いますね。この働きにあなたと神様が一緒に関わっていて良かったと思いますよ。私たちはこの飛行機が墜落しないように一所懸命やりました」
「本当にありがとう、君たち。僕のために、知恵と安全を祈ってほしい。ガイアナに向けて飛ぶ時が来たようだ。航空日誌をすっかり書き終えて、FAA(米国連邦航空局) の書類を仕上げるのに2日かかると思う。レイフ・アエーン〔アンドリュース航空整備学校の最近の卒業生〕が、僕の飛行の副操縦士になってくれる。彼はボランティアとして滞在するつもりでいるよ。僕は週末をイリノイの家族と一緒に過ごし、それから南アメリカに向かうことになるだろう」

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