24. 神の力

23. 吠える獅子
25. 神のわざ再び

コラム 「ミッションパイロット」  デイビッド・ゲイツ氏の証より

ある安息日の午後、デイビッドとベッキーは、カイカンの自宅のベランダで共に腰かけて、思い出話をするめったにない機会を楽しんでいました。

「私はここで、そばを流れて行く川を見ながら、とても平安を感じるわ」とベッキーがデイビッドの手を握りしめて言いました。「私たちの小さなカイカン教会で礼拝できる安息日がうれしいの。彼らの歌と一緒にあなたがトランペットを演奏すると、人々の顔が輝いたわ。神様はあなたの上手なトランペットを、多くの訪問者を集会に惹きつけるためにお用いになってきたのね。
私は、この大事な人たちの間で神様に奉仕するこの特権を神様が与えてくださったことを、幸福に感じるの。私たちが今年、キリストのために人々の所に行くどんな機会も逃すまいと神様に誓ってから、神様は確かに私たちの献身を試されたわ」

「そうだったね。僕らが夢見たよりはるかに大きい神様のご計画に驚くよ。毎日神様は、前進するのが僕らの義務で、道を開くのは神様の働きだということを思い起こさせてくださる。そして神様がなさったことを見てごらんよ、ベッキー。デイビスインディアン実業学校は3年近く運営されてきたし、大人のためのバイブルワーカー訓練学校もうまくいっている。神様が訓練学校のために道を開かれた日を覚えているかい?」
「そのことを話してちょうだい」と彼女は言いました。
「8歳の子を持つ35歳の母親が僕のところに来て頼んだんだよ。『私、あなたの中等学校に来てもいいですか?』とね。僕は彼女にその余地はないと言いながら悲しかった。でも彼女は訴え続けた。『私はいつも学校へ行くことを夢見てきました。今、ここに私たちの学校があります。どうか学校で勉強させてください』」
「それで神様は彼女を用いて、年配のアドベンチストの人々を招いてボランティアバイブルワーカーのための昼間の学校に参加させる、という考えをひらめかせてくださったんだ」

ベッキーはほほ笑みました。「でも彼らを指導する力量のあるボランィア教師はひとりもいなかったわね。もう一度、どうやって神様がその扉を開かれたか話してちょうだい」
Sheila「70歳半ばで引退した敬愛する医師、シーラ・ロバートソンが、この要望と同時にボランティアとして来てくれた。『どうか、私が奉仕できる最も孤立した村に連れて行ってください』。僕は彼女を連れてフィリッピまで20分の飛行をした。歩けば4、5日かかる距離だ。そして彼女に教えたよ、『ここに、毎日連絡をとるための小さな無線があります。必要ならもっと頻繁に使ってください』。僕は彼女をそこに残した。すると彼女は、神様のために驚くほどの働きをして、初めから終わりまで楽しんだ。ある日僕が彼女をちょっと訪問しにフィリッピへ飛行すると、彼女は先住民の成人や青年のためのバイブルワーカー訓練学校を開くという考えを僕に話してくれた。というのは、彼らはアカワヨとアレクナの方言を話すし、彼ら自身が先住民なので、村に入って行くのに政府の認可を必要としないからだ。僕は、僕も同じことを夢見ていたが、そのプログラムを指揮する人がだれもいなかったと打ち明けた。
『私は遠隔の孤立した地域で働くのが一番好きです』と彼女は僕に言った。『パルイマはおよそ600人の大きな村です。でも神様が、それを率いるために私を必要とされるなら、嫌とは言いません』」

「卒業の時、9人のアメリカ先住民のバイブルワーカーの顔から発散していた熱心さを思い出すわ」とベッキーがつけ加えました。「教区の経験あるバイブルワーカーの個人指導の下でふたりづつ出て行き、7人はすでに未踏の地域で開拓伝道の働きを始めたわ。神様は確かにシーラ先生を通して働かれたのよ」
「ボランティア無しでは、僕らのここでの働きは不可能だっただろう。チームリーダー、指揮者として、彼らはそれぞれの分野を前進させ続けている。神様が今年、少なくとも15人の、その大部分は教師となる長期ボランティアを求める僕らの祈りにきっと答えてくださると思う。でも短期間のボランティアも大きな祝福を加えてくれるね」
「そうよ、デイビッド」とベッキーはほほ笑んで言いました。「ダコタアドベンチストアカデミーの生徒たちと校長先生がここになじむのを見るのは、なんとわくわくすることかしら。天使たちだけが、彼らがどんなに一所懸命に村の子供や大人たちと祈り、遊んだかご存知だわ。カイカンとアラウの間をグループの半分が移動するために、セスナ206で何回往復したことかしら」
「ローレルブルックアカデミーから来た大きなグループは、バービス川のほとりにあるキンビアの新しい学校の建築を大いにはかどらせてくれたわね」

「ベッキー、君はセブンスデー・アドベンチスト世界総会の副総理、フィリッピ・フォーレット牧師が、デイビスインディアン実業学校の新しいビデオ製作スタジオの献堂式を導いたとき、彼の存在がアメリカ先住民をどれほど励ましたか見るべきだったよ。僕らは、その地域の至る所で使う、教育や伝道用ビデオを方言でまもなく作り始めるのを期待している。学校の新しい健康科学棟の鍬入れ式のとき、インディアンたちがどれほど幸福そうだったかを見て、僕は感動した。それにカマラングのコミュニティテレビ局の献堂式でもね。まだ放送はしていないけれども、その局は建てられ、稼動に備えている。
そうだ、ねえ君、神様がおできになることに限界はない。イセネル村に入っているシルベスター・ロバートソンとその同僚ジェームズ・エドウィンのような、新しいバイブルワーカーのことを考えると、200人の村人たちが彼らを受け入れてくれたこと、そして三天使の使命の福音を喜んで聞いているということが、僕はうれしい。実際、先日シルベスターは僕に話してくれた。彼は毎週、地元の英国国教会の司祭と聖書研究をしていて、その司祭は多くの真理を受け入れているようだとね。セバスチャン・エドムンドとレイ・ヘイスティングはコーペナングで働きを開始した。そこの村人たちは、神様のみ言葉が彼らに開かれたとき、ふたりに必要なものを与えてくれた。新しいバイブルワーカーのグループが6ヶ月ごとに卒業して、いくつかの未踏の村々が福音を受け取っているんだよ。神様が僕らに、神様は資金調達をどうにでもおできになるという理念を刻み込んでくださって以来、すばらしいことが起こってきた。僕らの資金調達は、ただ神様への祈りを通して行われるのだ」

「ねえ、デイビッド、あなたがとても一所懸命に働いていることを私がどう感じているか知っているでしょう。だけど、神様は、あなたが給与をもらってカンファレンスに雇用されるのではなく、ボランティアでアドラガイアナの監督としてカンファレンスチームの一員になる必要があることを、前からわかっておられたのね。私は、仕事の成功に不可欠なのは、確信によること、そして地域の教会の幹部の人たちと密に関係を持って働くことだと思っているわ。ジョージタウンアドラの事務所で働くあなたに補佐ディレクターがいたので、あなたは今年、新しい6カ国で自由にリーダーたちと働きに参加してきたわね」
「『この働きが神からのものならば、その完成のためには、神が自ら資金を備えてくださる』というのは本当だ」(各時代の希望中371)。

数日後、ジョージタウンへ飛行したとき、デイビッドは地元登録されているセスナ172が売りに出されていることを聞きました。それは、彼がガイアナへ越してきて以来初めて売りに出された単発エンジン航空機でした。彼は地元登録された飛行機を所有するこのきわめて重大な機会を逃すまいと決めました。空港で整備監督が彼に向かって走って来て言いました。「もし君が売り出されているセスナ172の購入を考えているなら、早く行動しなくてはいけないよ。もうすでに、他のふたりが持ち主とエアタクシー会社のCEO(経営最高責任者)に会い、それを買うと申し出ている」
「忠告ありがとう」と、デイビッドは空港の駐機地域を横切りながら叫びました。彼は声を出して祈りました、「主よ、どうか地元登録されたその航空機が他のだれかに売られないようにしてください。あなたは長年辛抱強く待っていた未踏の村々のことをご存知です」。走りながら、彼は、近頃話した合衆国の友人が、必要な時に使うための融通のきく資金として、相当な額を合衆国にあるデイビッドの銀行口座に入れておくと言ったことをありがたく思いました。

彼は、そのエアタクシー会社のCEO に電話をかけました。
「そのとおりです、ゲイツ機長」とその人は認めました。「他のふたりがその飛行機を買うと申し込みました。私は午後4時にあなたと会うことにしましょう。“早い者勝ち”というのが私の信条です」。そしてそのCEOは電話を切りました。

デイビッドは時計を見ました。閉店時間前に銀行へ着くために30分ありました。タクシーを見つけようと外に走り出たとき、その朝の個人礼拝の時に読んだ言葉が彼に指示を与えました。「神の働きは、すばやく見、正しい時に力強く瞬時に行動する人を必要とする」(ゴスペルワーカーp.133)。

15分後彼は、途中まで乗せてくれるタクシー運転手を見つけました。道すがら彼は、別のタクシーが時間までに自分を会社まで乗せてくれるように祈りました。彼は、ポケットに頭金を入れてCEO のオフィスに行くことにしました。

なおも神様に語りかけながら、彼は祈りました。「主よ、あなたは私が働いてきた所ではどこでも、経済的信頼を得るように私を祝福してくださいました。私は銀行の出納係たちの名前を知っています。外国の銀行から送金された資金を受け取るには時間がかかることがあるのを、あなたはご存知です。あなただけが、私が多額の外国の小切手を現金にしようとするとき、その出納係に好意ある応対をする気持ちにさせることがおできになります。これを早く処理してくださることを感謝します」

彼が銀行のカウンターへと歩いて行くと、ひとりの親切な出納係がほほ笑みました、「こんにちは、ゲイツさん。どういたしましょうか?」
「この個人的な小切手をすぐに現金にしてくださいますか。重要な約束があるのです」

彼女はそれをざっと見ました。「上役から必要な署名をもらって、すぐに現金を持って戻ります」。ほんの数分で、彼女は彼に1万ドルの現金を手渡してくれました!

「本当にありがとうごさいます」とデイビッドはほほ笑んで言い、別のタクシーを捜しに急ぎました。空港へ戻って彼は、そのエアタクシー会社の主任パイロットであるひとりの友人にそっと話しました、「僕は、ポケットに頭金を入れて約束した面会に来ているんだ、言い値より5000ドル少ない値段を提案しようと思っている」
ところが、購入に関心ある人が他にふたりいるので、少ない額を提示して交渉することはできないことがわかりました。即座に、その主任パイロットは社長 に電話をしました。「ゲイツさんがここに頭金を持って来ています。あなたはこの飛行機が、奥地での医療の仕事に役立つことを知っていますね。多くのアメリカ先住民が彼の医療航空機サービスのおかげで生きています。彼の低い申し出価格を受け入れませんか?」
「ゲイツさんに面会に来るように言いたまえ」と社長は答えました。

デイビッドは社長室に足を踏み入れました。「社長、ガイアナ奥地の人々には、彼らの必要に役立つもう1機の飛行機が必要なのです。ここにセスナ172の頭金があります」。デイビッドはその現金を彼の机に置き、話を続けました。「私は、希望価格より5,000ドル安い提案をしようと思っていましたが、他のおふたりもその飛行機に関心があることを知りまして・・・」

「私はあなたの申し出を受け入れます、ゲイツさん」と社長は口を挟みました。「私は売値を下げるようにすぐ命じましょう。明日残りの分を電報為替で送ってくれればけっこうです。私はあなたの機敏な行動を高く評価します。あなたが明日まで待ったら、きっとその飛行機を手に入れ損なったことでしょう」
社長は手を伸べて、デイビッドの手を握りました。「ご配慮、本当にありがとうございます」とデイビッドは言いました。「私は、GAMASを確かにコントロールしておられる、私の天の父の導きの下で働くことをお約束いたします」。デイビッドは感謝を述べてほほ笑みました。

社長は、答えて言いました。「私は、これまで4年間ガイアナであなたがしている仕事に大変興味をもっておりました。あなたは、アメリカ先住民の利益のために開かれた機会に対して、すばやい行動をとられました。私は、この売渡契約は、ガイアナの福利のために最善の選択に違いないと確信しています。あなたがガイアナ人を助ける限り、たとえ彼らがアメリカ先住民であっても、私はあなたの味方です」

デイビッドは社長室を去り、天の財務官と状況全体を論議するために、引っ込んだ場所で立ち止まりました。「神様、気は進まないのですが、残りの必要資金同様、頭金も100パーセント調達しなければならないことを、あなたはご存知です。私はその飛行機購入の資金を借りるとき、長年の友人に90日の間と頼みました。神様がじかに介入してくださらなければ、その支払いはできないことがわかっています。けれども、私の義務は前進することだと信じます。あの飛行機はあなたのみわざの進展にとって不可欠ですから、あなたの誠実なご導きに安んじ、その資金調達のことであなたを信頼できます。道を開いてくださること、そしてあなたの大宇宙の中のこの小さな場所で、あなたと組んで働ける特権を与えてくださっていることを感謝します」

翌朝デイビッドは新しいセスナ172で、1週間続く多忙な飛行を始めました。燃料と必需品を学生宣教師たちに運びました。福音の働きを始めるアメリカ先住民のバイブルワーカーたちを、彼らの村に降ろしました。セスナ172は数名の病人を病院へ運び、ジョージタウンで亡くなったひとりの女性の遺体を、カマラングの故郷の村で葬るために運ぶこともしました。

広大なジャングル上空を飛びながら、彼の心に平安と喜びがあふれました。神様は、祈る彼をみ言葉で励まし、勇気で満たしてくださいました。

「いたるところで障害や困難に直面するでしょう。その時それらに打ち勝つという確固とした決心を持たなければなりません。でなければ障害や困難があなたを打ち負かすでしょう。そしてもし何か目的を果たそうとするなら、それは最善の時になされなければなりません。秤のごくわずかな傾きも見極め、即座に物事を決定すべきです」(福音宣伝者 133,134ページ)。

この指示に従って行動してきたことを確信し、彼は今、神様の応答を見ることを期待し、わくわくした気持ちで待っていました。デイビッドは長い遅延は天使を疲れさせることを知っていました。神様のタイミングは長い時間を必要としないはずです。

10日もしないうちに彼は、ある寄贈者から、ローンの支払とベネズエラのための新しい飛行機を考えて、追加預金をするために十分な資金を送ったという情報を受け取りました。

なぜベネズエラが選ばれたのでしょうか?何万人もが亡くなった1999年のカラカスでの悲惨な地滑りのための、アドラ救援物資の配布において、クリスチャンの若者たちがすぐに行動を起こしたことがありました。政府の役人たちは、これらのクリスチャン青年たちが正直で親切であるのをよく見ていました。今、扉が開かれ、必要のある地域がセブンスデー・アドベンチストの助けを求めてきていたのです。

ベネズエラの教会指導者たちは、デイビッドに伝言してきました、「医療面で孤立している地域を援助する方法を話し合うために30人の村長たちと会うとき、どうか私たちと同席してください。ガイアナのアメリカ先住民の人たちが川向こうの友人に、ガイアナアドベンチスト医療飛行機サービスから受けた祝福を話しました。これらの現地の指導者たちが、ここベネズエラの住民の間でも同じようなサービスを設けてほしいと、私たちに頼んできました。そのプロジェクトへの村長たちからの支持がとても多いので、私たちはあなたの助けとアドバイスを必要としています」。「私ができることでしたら何でも、喜んであなたがたと一緒にいたしましょう」とデイビッドは返事をしました。

「もし神様が、アメリカ先住民の人々に手を差し伸べるもうひとつの扉を開いておられるなら、私たちは神様の指示の下で前進しなければなりません」

デイビッドはカナダ、中央アメリカ支部、そしてカリブ海ユニオンのアドラディレクターたちと会い、ベネズエラのための飛行機入手の準備のための指導をしました。彼はまた、ボランティア指導者が必要だということも強調しました。交渉の間ずっと彼は、(神様がより大きな隣国ベネズエラを助けるために、この小さなガイアナを用いようとして選ばれるのは何とすごいことだろうか)と考えていました。

ガイアナに戻ると、彼は喜びにあふれて、ベッキーにこのすべてを話しました。短波無線を用いて、彼は彼女に連絡をとりました。「神様ご自身が、ガイアナとベネズエラ両国の恒久的福利を与え始められた。ニルグアのアドベンチスト大学のボランティアサービスへの熱意を知るために、君がそこにいたらよかったのにと思ったよ。ユニオンは今、大学卒業生が皆、卒業後の最初の1年を教会の伝道奉仕のためのボランティアをするためにささげるように誘う計画を立てている。もしその考えが、世界中のカレッジのキャンパスに影響を与えたらどんなことが起こるだろうね」

「ねえ、あなた聞いて」とベッキーが答えました。「モーセの『神は人のように偽ることはなく、また人の子のように悔いることもない。言ったことで、行わないことがあろうか、語ったことで、しとげないことがあろうか』という言葉以上に、そのことをはっきり言っているものはないわ。民数記23の19よ」

23. 吠える獅子
25. 神のわざ再び