5.挑戦

4.ベッキーを想って
6.暗雲の切れ目

コラム 「ミッションパイロット」  デイビッド・ゲイツ氏の証より

安息日の朝、デイビッドは教授と話をしました。
「ここの刑務所で神様を礼拝して、安息日を守りたいですね。神様は、私たちがここの人たちと一緒に安息日学校をするために特別な計画を持っていらっしゃるにちがいありません」と、デイビッドはその思いを語りました。

「でもどうやって?刑務官のところへ行って、説教ができるように頼むことはできないというのはわかっていますよね。彼らは許可をくれないでしょう」と教授は尋ねました。
「いい考えがあります。別の要望をしてみましょう」

彼らは一緒に刑務所所長のところへ行き、「他の受刑者への医療奉仕をさせてもらえますか?」と頼みました。
彼は興味深そうに見つめ、「どういうことかね?」と聞きました。
「私は正看護師ですし、教授は全メキシコ南部の私たちの教会学校を指導しています。受刑者に健康と教育について話したいのですが、どうでしょうか?」とデイビッドは聞きました。
「もちろんいいとも!マイクをとって発表しなさい」と彼は言い、デイビッドにマイクを手渡しました。

「皆さん。午前9時半から健康と教育についてもっと学びたい人のために特別集会を開きます。健康に関して質問があれば、お答えします。どうぞおいでください」
「ありがとう」と刑務所所長は言い、デイビッドは彼にマイクを返しました。」

後になってデイビッドは、神様がその朝奇跡を行われたことに気づきました。受刑者には厳しい序列があり、刑務所で5年以上過ごしていないと、誰もマイクは使えないという暗黙の規則がありました。しかし刑務所所長は、「君が発表しなさい」と言ったその瞬間、デイビッドを5年昇進させていたのでした。

刑務所には400人以上収監されており、そのうちの約350人が話を聞きに来ました。看守たちは今までに、これほど多くの受刑者が集会に集まったのを見たことがありませんでした。混乱に備え、看守たちは銃を構えて、部屋の後ろと横に並んでいました。
男たちが列を作って行進するのを見ながら、デイビッドは黙して祈りました。(神様、ハイジャックされ刑務所に入れられたことで、あなたが忠実な方であることを疑っていた私をあなたはご存知です。でも今、なぜあなたがこのことを許されたのかわかります。安息日学校にこれほど多くの参加者が集まったことは、今までどこでもありませんでした。「神様は約束を果たされる!」あなたは約束を守られ、今ここで行われたもうひとつの奇跡を私は見ております。あなたの御名に栄光を帰すために、この礼拝の間私たちを用いてください。)

彼らは、受刑者たちの先にたっていくつかの元気な賛美歌を歌いました。次に教授が祈りをささげてから、南メキシコでのキリスト教教育の利点を話しました。それに続いてデイビッドが人類に対する神様のご計画を語りました。完璧な健康と食事を伴った創造、罪と悪の侵入、そして人類の堕落について。それから彼は、人間を神様の姿に回復するというすばらしい神様のご計画を説明し、8つの健康原則が、すべての人にとってどれほど効果があるかを示しました。

「もしアダムとエバが、敵ではなく神様に耳を傾けてさえいたら、私たちはまだエデンの園にいたはずです。刑務所の必要はなかったはずです。サタンが、人類を罪と利己主義で堕落させました。みなさんの中のある方々は罪を犯し、自分のためだけに生きて来たのでここにいます。またその他の方々は、誰か他の人の利己主義や憎しみのために、不当にもここにいるのかもしれません。けれども、もしあなたがたが、神様の無条件の愛と、イエス・キリストの無償の賜物である救いを受け入れるなら、ひとりひとりに希望があります。イエス・キリストがあなたがたに代わって苦しみ、死なれたということを覚えていてください」
カルバリーの意味と救いの計画を説明した後、デイビッドは質問を求めました。部屋のあちこちからたくさんの手が挙がりました。午後1時になり、デイビッドはやっと集会を終えました。「皆さん、私たちは昼食をとらなくてはなりません。しかし、もし午後にまた皆さんが戻って来たければ、集会を続けます」と言いました。かなりの数の受刑者が戻ってきて、午後ずっとプログラムは続きました。

集会が終わると人々がデイビッドの周りに群がりました。
「わしは、ここが数日ひどく痛くてね」とひとりの男が言いました。「助けてもらえるかね?」
別の人が、「何週間も頭痛でつらくてたまらない」と声を上げました。
「俺は吐き気がして何も飲み込めない」
「私の目に腫れ物があって、ずっと痛むのだが」。苦情が次々と訴えられました。
ついにデイビッドは言いました。「刑務所所長に会いに行きましょう。私はここではあなたがたを診察できません。たぶん所長には提案があるでしょう」

所長は言いました。「ここには小さな保健室がある。だいぶ前のことだが、医者が患者を見に刑務所に来ていたものだ。もしあなたがそれを使うなら、そうしなさい。来てごらん、その場所を見せるから。今は空いている」
「私は医者ではなく、ただの看護師です。けれども私が誰かを助けられるなら、喜んでやってみましょう」と、デイビッドはその部屋に向かって歩きながら説明しました。彼はあたりを見回して、貧弱な必需品を2、3見つけましたが、参考にできる医学書はありませんでした。「明日の朝食後、私が患者に会うと発表してくださって結構です」とデイビッドは言いました。

その日からデイビッドは1日少なくとも50人の患者をみました。彼はすぐに、囚人の幾人かは手術を要する深刻な状態であることに気がつきました。所長は、デイビッドが、彼の自宅近くにある教団の病院の医長に電話することを許しました。再びデイビッドは神様のみ手のわざを見ました。なぜなら彼は愛するベッキーに伝言することができるからです。彼は、彼女が家で子供たちと共にどうやってこの危機に向き合っているのだろうと案じ、彼女と直接に連絡を取りたいと思いました。

ベッキーと話す機会は1回だけ、別の時にやって来ました。電話を使う許可を受けてからデイビッドは、病院から数マイルの友人宅へ成り行き任せで電話をかけました。病院には電話がなかったからです。ベッキーは買い物の後で友人のジェーンに会いに立ち寄りました。彼女の主な目的はデイビッドについて何か聞くことでした。ベッキーがその家に入って来た直後に、その電話が鳴りました。それは刑務所からデイビッドがかけた電話でした。

デイビッドは、彼の上に垂れ込めている絶望の暗雲を彼女と分かち合いたいと願っていました。「僕はここに14年もいることになりそうだ。だから君がこっちに引っ越して来れば、面会日に一緒にいられるかもしれない」と彼は彼女に言いました。
「これからの14年間給料は支払われるの?」
「わからないが、今の時点では、弁護士はそうなるかもしれないと僕に言っている」

「デイビッド、夕べ何が起こったか言わなくちゃ。子供たちが私と一緒にベッドで、ベッドタイムストーリーを聞いていたのよ、ペテロが牢獄から逃げた物語をね。カトリーナが尋ねたの、『母さん、イエス様はペテロのためになさったように、父さんのために刑務所の扉を開けることができると思わない?』って」
「私は答えたわ、『ええ、できるわよ』と」
「彼女は尋ねたの、『私たち今夜、父さんのためにイエス様が同じことをしてくださるようにお祈りしなくちゃと思わない?』って」
「私、『そう思うわ』と言ったの」
「彼女は、『イエス様はそうしてくださる?』と聞いたわ」
「『もしそれがみこころなら』と、私は彼女に請け合ったの。でも、デイビッド、私たちが祈ったら、イエス様は私にとてつもない平安を注いでくださったのよ。神様は愛で保護してくださり、あなたと私たちを共に勇気づけておられる、生きたお方だということがわかったの」

その電話の会話は数分続いただけでしたが、ふたりにとってはかけがえのないものでした。

教団の病院で、医者は刑務所での手術を執り行う手はずを整えました。翌日、彼は手術用の包みを持ち、山々を越えて長い時間をかけ、病院からやって来ました。彼は刑務所に無事到着しました。

「こんにちは、ドクター・マウリキオ」とデイビッドは彼に挨拶しました。「あなたにお会いして、私がどんなにうれしいかおわかりにならないでしょうね」
「機長、刑務所の格子の向こうにいるあなたを見ていられません。あなたは同じ人とは思えません」
「私は同じではありませんよ」

看守はすぐに手術用の包みを調べ始めました。最初のものを彼が開けたとたん、デイビッドは叫びました、「殺菌してある包みを開けてはいけません。汚染して、台無しにしてしまいます」
「私たちは、この刑務所に入ってくる荷物を全部調べるように命じられている」
デイビッドは毅然として、「そのままにしておいてください。急いで、所長を呼んでください」と言いました。
デイビッドは所長に説明しました。「閣下、看守たちが包みを開けてはなりません。医者はそれを病院から手術のために持って来たのです。患者たちが感染しないよう、殺菌した状態にしておかなければならないのです」
「それ以上開けるな」と刑務所長は命令しました。「ゲイツが運び入れるものは何でも全部、お前たちは開けてはいけない。わかったか?」
「はい、わかりました」

すべての器具と包みは保健室に直行しました。医者は、デイビッドを助手として、軽い手術をその日は15、翌日はもっとたくさん執り行いました。数人は大きな手術を必要としたので、医者はそのための手はずを地元の外科医と共に整えました。

その医者の訪問のおかげで、アドベンチスト地域サービス事務所は刑務所に衣類を持ち込む許可を受けました。近隣教会の女性たちは、宣教師パイロットが刑務所に入れられていると聞き、米、野菜、果物の食事を運んできました。デイビッドと教授は彼らのために運ばれたご馳走を食べ切れませんでした。デイビッドは所長に、「他の囚人たちに食べ物を分けてもいいでしょうか?」と頼みました。

多くの者が欲しがりました。ひとりの男がデイビッドに、「私はあなたの教会に所属しています。あなたの食べ物を少しもらえますか?」とささやきました。
「もちろんですとも。けれど質問があります。それは、あなたは金曜日には魚だけ食べるということですか?」
「ええ」
「それで土曜日には豚肉だけ食べるのですか?」
「ええ」
デイビッドは笑いました。「次は、どうかうそをつかないでください。あなたが私の教会に属していなくてもいいんですよ。食べ物が必要な人は、だれでももらえます。どこの教会に行っているかは問題ではありません。あなたはいつでも食べ物をもらえますが、どうか本当のことを言ってください」

囚人たちは、夜の6時から朝の6時まで監房に閉じ込められました。昼の間は自由らしきものを楽しみました。午前中は、刑務所の庭で妻や家族との面会ができました。ある者たちは料理するための食べ物を持ち込み、他の囚人たちに売りました。デイビッドはこの刑務所の好ましい事柄を探しました。そしてたくさん見つかったので、彼は1通の手紙を刑務所長に書きました。

拝啓、
私は、あなたがこの刑務所を監督しておられる方法に感銘を受けております。あなたは、刑務所内での修養訓練に関与する刑務所委員会を持ち、その委員に信望厚い囚人を含めておられます。子供たちには、昼間ここに来て両親と過ごせる特権があります。合衆国でこのようなことがあるとは思えません。
私は、合衆国大使館が、私が合衆国で刑に服せるとの判決を受けるかどうかということを、あなたに申し送ったと理解しております。私はここでも合衆国でも、服役しようとは思いませんが、それは神様の問題であって、私の問題ではありません。何が起ころうとも、私は妻や子供に毎日会えるメキシコに留まることを選びます。またあなたが、週に2度伴侶が訪れるのを許し、上級囚人の妻は夜泊まり、下級囚人の妻は日中訪問できるというのは親切なことです。
私はまた、バレーボールチームが組織されていることを感謝します。これは良い運動と、刑務所に暮らしているのをしばし忘れる機会を与えてくれます。ほかの囚人たちは私の身長と能力を歓迎し、彼らのチームが勝利するのを助けるために刑務所にとどまってくれと言いましたが、私はその招待を受けないことにいたします。
あなたは、刑務所暮らしに耐えられるように多くのことをしてくださいました。ありがとうございます。
デイビッド・ゲイツ

少数の囚人たちは、火曜日に女友だちを、木曜日に妻を導き入れるために、看守に定期的に賄賂を贈っていました。ある午後施錠直前に、デイビッドは刑務所の庭から聞こえる、笑い声と手を打ちたたく音の混じった大騒ぎと叫び声を耳にしました。彼は他の者たちと一緒に窓から庭を覗きました。彼らは、裸の男が、ハイヒールで頭を叩こうとする女に追い回されて、庭を走っているのを見ました。見物人たちは喜んで、「ご婦人よ、彼を叩け。叩いてやれ」と叫びました。

看守が失策をしてしまったのです。彼はその囚人の女友だちを中に入れたのですが、後でその男の妻が入って来たとき、その女友だちのことを忘れていました。彼女は夫が女友だちと戯れているのを見つけ、靴をつかんで彼をたたき始めたのです。彼は、彼女が叫んで叩いている間、走り回り、喝采している囚人たちを喜ばせていました。

デイビッドは、囚人生活のほとんどは耐え難くうっとうしく単調であることを知りました。毎日が永遠のように思えます。彼の活動的な性質は、刑務所の中で停滞してしまいました。けれども、医療の仕事は続きました。デイビッドは、自分の働きが囚人たちの痛みを取り除くだけでなく、彼自身の心痛をも和らげていることに気づきました。彼は、(愛は、僕が怒りや痛みを感じていても働くことができるのだろうか?)と自問しました。少なくとも、刑務所委員会に命じられてトイレ掃除をしたのではなかったと、彼は自分を元気づけました。

彼は、刑務所に入った日から数日間、自分を見つめている年配の白髪の男に気がつきました。彼はアメリカ人のように見えましたが、きれいなスペイン語を話しました。ある日その人がデイビッドに近づいてきました。

「やあ、僕の名前はドノヴァンだ。僕は君が刑事犯だと聞いた」とその人は言いました。
「その嫌疑で私はここにいます。でも罪になることはしていません。私は実は医療伝道者です」とデイビッドは答えました。
「そうかい?なんという教会に属しているのかね?」
「セブンスデー・アドベンチストです」
「どこでスペイン語を習ったんだい?生まれつきの人のように話すね」
「私はボリビアで育ちました」
「おお、君はインカユニオンで育ったのか」とその男は、わかっているという微笑を浮かべて言いました。
「ちょっと待ってください。どうしてあなたはインカユニオンを知っているのですか?」
「私の両親は宣教師で、私をセブンスデー・アドベンチストとして育て、教育した。父親と私はコロンビアで神様の働きを切り開いた。私の脚に、銃に撃たれた穴の痕が見えるかい?司祭に導かれた民衆が、われわれの信仰を伝えていた父親と私に反対した。彼らは教会を襲い、戸口から走り出す人々をなたで切り始めた。父は背中を切られたが、私たちふたりは逃げた。一緒にいたほかの宣教師は逃げられなかった。彼らは彼を細切れにして、それを南京袋に投げ入れて、教会の階段に放り投げ、『これが外国人宣教師にすることだ』と言った。
私は暴力の時代を生きてきた。南アメリカの多くの国々で、宣教師たちは大きな困難や恐ろしい迫害に向き合った。こういうすべてのことにもかかわらず、私は宣教奉仕に入ることを選んだ。神学をパシフィックユニオンカレッジで学んだ。後に教育の修士号と博士号を修めた。アンチリアンカレッジがキューバに初めて開校したとき、彼らは私を学長に指名した。私の父親は南アメリカ支部の秘書だった」
「私はあなたのご兄弟を知っています」とデイビッドは口をはさみました。「私の両親と私がボリビアで働いていたとき、彼は支部のオフィスから毎月の支払い小切手を郵送してくれたものです」
「そうかい?彼は副会計士としてそこで働いていた」
同情でいっぱいになって、「では、あなたはなぜこの刑務所にいるのですか?」とデイビッドは穏やかに尋ねました。
「そうだね、私は教会がいやになってしまい、妻や子供たちを捨てた。何年か旅をしたが、それから麻薬取引に関わった。10年の間、私は飛行機に麻薬を荷積みするのを監督し、それらをコロンビアから送り出した。そしてメキシコで逮捕され、13年の刑を宣告された。およそ9年服役してきた」

「ああ、なぜ神様が私をここへ遣わされたのかわかりました」とデイビッドは叫びました。「神様は私を、あなたのためにここの連れて来られたのです」
「だが私は、決して振り返らないことを選んだ。できたらと思うが、できないんだ」
「ドノヴァン、神様は今、あなたが振り向くのを望んでおられます。神様は私を、ちょうどあなたのように南米出身の宣教師の子である私を、ここに置かれたのです。ですから神様の大きな計画が見えます。あなたはご家族を、奥さん、子供たち、家庭、そしてあなたの神様を捨てました。あなたは傷ついている孤独なかたですが、神様のもとに立ち返って平安を見つけることができます。あなたは新しい家庭を作られましたか?」
「ああ、毎日私に会いに刑務所に来るコスタリカ出身の妻と、子供がふたりいる。子供たちには私のようになってほしくはないし、私が経てきた体験をしてほしくはないよ」
「彼らは学校に行っていますか?」
「ああ、彼らは公立の学校に行っているが、私は彼らが教会学校に行けたらと願っているし、教会にも出席してほしい。助けてもらえるかい?」
「もちろんですよ。私はあなたのために手配しましょう。あなたの奥さんやお子さんふたりにお会いしたいです」

デイビッドは、翌日ドノヴァンの家族が刑務所を訪れたとき、彼らと話をしました。教会員と教区指導者たちの助けで、デイビッドは子供たちが教会学校に行くための奨学金を準備しました。まもなく彼らは、安息日学校に参加するようになりました。

ふたりの男はたびたび会い、祈り、そして神様の言葉を研究しました。繰り返し繰り返し、その囚人は尋ねました。「神様は、私がしたすべてのことにもかかわらず、まだ私に関心を持っておられるだろうか?今の私への神様のみこころは何だろうか?」デイビッドは、神様の言葉から来る希望と保証とで彼を満たしました。神様はご自分のわがままな息子を連れ帰り、その罪ひとつひとつの上に「ゆるされた」と書かれました。

デイビッドの内心の葛藤は増しました。刑務所の中で、彼を息苦しくさせる深く重い雲が日ごとにいっそうのしかかってきました。南メキシコユニオンはすばやく行動し、教区の法律顧問であるハヤサカ牧師を送り、ふたりを解放するように努力しました。けれども、彼はほとんど希望をもたらしませんでした。

ふたりの囚人を解放しようとして多くの時間をかけた努力もむなしく終わり、その法律顧問は刑務所にやって来てデイビッドと教授に面会を求めました。

「残念なことですが、私たちは何もできないのではないかと心配しています」とハヤサカ牧師は彼らに告げました。「軍はあなたの飛行機を保有すると決めています。そのためには、彼らは何でもするでしょう。あなたを刑務所に入れておくことだってします。あなたがたの刑を宣告するとき、彼らはおそらくあなたの犯罪を証明する証拠をこしらえることでしょう。彼らが証人たちを連れてきて告訴をすべて実証し、証拠でもってあなたがたの犯罪を証明した後では、あなたがたを解放する方法はありません。私はあなたの記録を見るために裁判所に行く許可を何度となく求めたのですが、彼らは拒否しました。私はプロテスタントを弁護しようとするカトリックの弁護士をひとりも見つけることはできませんでした。この町ではあなたの弁護人はいないのではないかと心配です」

彼は続けました。「ひとつだけ希望があります。私は、町でただひとり、プロテスタントを引き受けるかもしれないナザレン教会員の弁護士のことを聞きました。報告書によると、彼はとても尊敬されていますが、どこで彼の事務所を見つけられるか誰も私に話さないのです。何日も捜し歩きましたが、手がかりひとつ見つけられませんでした。私はたくさん祈ってきました。そこで、私はあなたがたと一緒に祈るために来ました。この窮地にあって、神様だけが助けることがおできになります」

デイビッドは共にひざまずくと、「神様には何でもできないことはありません」との聖句を引用しました。

4.ベッキーを想って
6.暗雲の切れ目